オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側

著者: 後藤 逸郎(著)

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:::目次(新書):::

 まえがき

第一章 平和とは程遠いオリンピックの歴史

・ローマ帝国が滅ぼした古代オリンピック

・十九世紀の古代ギリシャ・ブーム

・最初から政治や経済とは無縁ではいられなかった

・戦争の前には無力だった歴史

・自ら政治的に動くIOT

第二章 IOCを巡る不透明なカネの流れ

・IOCがスイスに本部を置く理由

・FIFAの汚職事件

・オリンピック招致を巡る疑惑の歴史

・IOC委員たちの報酬

・山ほどある関連NPO

・関連会社も存在

・IOCの錬金術ーOBS

・長野オリンピックの内部資料

・なぜか二つあるOBS

・ピーター・ユベロスが変える世界

・竹田前会長が辞任後もトップを続けた子会社

・「五輪貴族」の優雅な暮らし

第三章 高騰する放送権料のからくり

・二十年で三・四倍になった収入

・たった百万ドルだった放送権料

・「ロサンゼルス方式」の成功

・「オリンピックのマネタイズ」

・競り合う米ABCとNBC

・コードネーム「サンセット」

・人気競技がなぜおかしな時間帯に放送されるのか

・マラソン・競歩が札幌へ変更された本当の理由

・新型コロナウイルス問題が明らかにしたこと

・延期となればさらに金がかかる

第四章 立候補する都市がなくなる日

・都市は巨額の財政負担を嫌い始めた

・経済発展神話

・「モントリオールの悲劇」

・「オリンピックの呪い」

・共産党する反対できないIOCの権威

・唯一反対したのは山本太郎議員

第五章 「TOP]という名のスポンサー

・貴族の嗜みだったアマチュアリズム

・TOPの登場

・バッハ会長を喜ばせたトヨタとの契約

・パナソニックは「白物家電」もカテゴライズ

・電動自転車をパナに押さえられたブリヂストン

・不評が相次いだボランティア登録システム

・衝撃を与えたマクドナルドの撤退

・ユベロスへのオマージュ

・招致段階で競技施設費ゼロのからくり

第六章 二〇二〇年東京オリンピックの真実

・レガシーにならない新国立競技場

・施設に盛り込まれていなかった聖火台

・なぜ競技場の規模が「八万人」になったのか

・八万人規模なら日本青年館まで建設施設になる

・根拠となったあいまいな決議

・頓挫したはずの神宮外苑再開発

・「密約」はあったのか

・「使い捨て」が前提だった新国立競技場

・神宮外苑再開発の起爆剤

・森元首相「どうぞ、進めてください」

・オリンピックの隠れ蓑に

・萩生田文科相の関与

・オリンピックで得をした関係者

・霞ヶ丘アパートの取り壊し

・「人間として扱ってくれなかった」

・二度目の「五輪ファースト」

・黒塗り地図の答え

・『GAIEN PROJECT「21世紀の杜」企画提案書』

 あとがき

 オリンピック関連年表

 主要参考文献・資料

引用

"ギリシャ時代の古代オリンピックをモデルに近代オリンピックを提唱したのは、フランス人のピエール・ド・グーベルタン男爵だ。グーベルタンは一八九四年六月二十三日、パリでIOCを設立した。"

"グーベルタンが重視し、現在のIOCが金科玉条とする「スポーツ」の持つ力は、今も昔も、時代の空気から隔離された純粋な存在ではない。"

"このように、クリミア戦争をめぐる特需が古代ギリシャ・ブームをもたらし、それがオリンピックの復活へとつながったのである。"

"ただ、「平和の祭典」は第一次、第二次両世界大戦の前に無力だった。大戦前後には予定された大会が中止され、スポーツが平和をもたらすのではなく、平和があってのスポーツという厳しい現実をIOCに突きつけた。"

"オリンピックの商業価値を最大限引き出したのは、ピーター・ユベロス・ロサンゼルス・オリンピック大会委員長だった。(略)公費負担はしないと釘をさされていた同大会を、民間運営で黒字化に導いたのが、ユベロス委員長だった。"

"そこでIOCが取った方策は、放送権料の高騰を抑えることではなく、一九九二年まで同年に行われていた夏季と冬季大会をずらすことだった。こうすれば、年間広告予算に限りのあるスポンサーが、夏季と冬季の負担を分散できる。"

"そして、二〇二〇年東京五輪では、暑さ対策でマラソンの競技開始時間を午前六時以前も検討していた東京五輪組織委員会に対し、IOCは午前七時を譲らなかった。"

"IOCは開催都市や現地組織委員会が開催費用を負担できない場合に備え、開催国に債務保証を求めている。"

"無邪気な選良がオリンピックを無批判にあがめる日本のような国がある限り、IOCは安泰のはずだった。しかし、世界の潮流は肥大化するオリンピックに対する疑念が膨らむ方向にある。"

"グーベルタンの「アマチュアリズム」は本人が意図したかしなかったかに関わらず、スポーツを貴族のものに留め置く役割をはたしていたのは否めない。"

"企業は「平和とスポーツの祭典」というオリンピックのブランド力を自社ブランドと重ね合わせることが出来る。IOCは広告を通じて(お金をもらって)、五輪マークを広めているとも言える。"

"ところが、オリンピックを錦の御旗にすると、この理屈が逆転する。新国立競技場の建設をオリンピックに間に合わせることが、他の何にも優先すると、少なくとも日本政府と東京都、スポーツ関係者、周辺の民間土地所有者は考えた。"

"行政が都市開発を行う時、必らず政治家が動き、得をする利害関係者が現れる。それらすべてを今回はオリンピックの大義が覆い隠した―というのが、神宮外苑再開発を巡る実態だ。"

"二〇一六年ブラジルのリオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックでは、開発によって低所得者層の住居が破壊されたと報道されたまさにその時、重機が霞ヶ丘アパートを壊していた。"

"二〇一九年一二月二十一日にお披露目の新国立競技場について問うと、「あえて行こうとは思わない」と答えた。住民を移転させてことは「永久に消えないキズだ」とつぶやいた後、「あ、言っちゃった」と苦笑いした。"

"コンパクト五輪、世界一費用がかからないと招致しながら、大会費用は二兆~三兆円に迫る。これを「感動」で精算するのでは、サルを笑えない。"