シリコンバレーの金儲け

著者: 海部美知(著)

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:::目次(新書):::

   プロローグ

第一部 儲け方の歴史

第1章 シリコンバレー誕生前のアメリカの金儲け

    アメリカ大陸への「ベンチャー投資」と初期のビジネスモデル

    スペインの宝さがしは「第2・5世代」

    「土地開発」という第3世代のビジネスモデル

第2章 カリフォルニアの金儲け

    スペイン、ビギナーズラックの終焉

    ゴールドラッシュの皮肉

    第4世代のビジネスモデル登場

第3章 シリコンバレーの誕生と成長の歴史

    第1段階ー鉄道王の金儲けと大学設立

    第2段階ーモフェット・フィールドの土地投機

    第3段階ー「シリコンバレーの誕生」

    日本軍がせめてくる!?

    フレデリック・ターマンの金儲け

    第4段階ー「半導体」がやってきた

    第5段階ーベンチャーキャピタル登場

    「ネットワーク」と停滞の1980年代

    ネットバブルの1990年代

    2000年代以降「FAGA」の時代

第2部 シリコンバレー型金儲けの仕組み

第4章 技術の進歩が富を生み出す

    技術の革新がキーとなる

    第4世代における製造業の富の源泉

    デジタル化とムーアの法則が生み出す富と「第5・0世代」

    ソフトフェアが世界を食べる「第5・5世代」

    アルゴリズムは現代の金型

第5章 ベンチャー資金の正体

    お金の源泉は3種類

    富裕な個人

    企業からのベンチャー投資

    機関投資家

    ベンチャーキャピタル(VC)

    コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)

    プライベート・エクイティ(PE)

    ベンチャー成長の標準的なプロセス

第6章 シリコンバーレー2010年代史

    2010年代クラスの「卒業式」

    ベンチャー資金の動きの変化

    2009年の「ケチケチ生活」ブーム

    2012年のギグエコノミーとモノのサービス化

    AIのブレークスルー「深層学習革命」

    2014~15年、いろいろなブームが到来

    2017年のソフトバンク・ビジョン・ファンド登場

    メガディールとユニコーンの跋扈

    2019年の上場ラッシュの明暗

    ウィーワーク事件の衝撃

第3部 これからのお話

第7章 「次は何が来ますかね?」

    予測はできるのか?

    ソフトウェアは世界を食べ続ける

    モノはどこまでサービス化するか

    D2Cとサブスクの試練

    AIは人の仕事を奪うか

    自動化は切り札となるか

    「NBT]をドライブする技術は何か?

第8章 シリコンバレーの変容

    そこにソフトウェアの金型効果はあるのか

    時代に合わなくなった「エア風呂敷」

    カリスマか、パワハラか

    エア風呂敷屋に騙されないための「血と汗」

    シリコンバレーの長過ぎる春

    土地と町の変容

    社会格差の拡大

    泥棒男爵方式とドーピングの懸念

    シリコンバレーは終わり?

    流れゆく川

第9章 日本企業とシリコンバレー

    日本のささやかな復権

    投資だけではない日本企業とシリコンバレーとのお付き合い

第10章 シリコンバレーから日本は何を学ぶか

    Dxは「金型」を目指す

    WhatではなくHowを学ぶ

    まず経営者・管理職がITを使ってみる

    エピローグ ニュー・ノーマルの世界へ

引用

"その中で、いくつか「文明のビジネスモデル」、つまり「人はどうやって儲けるのか、何を富の源泉とするのか」が大きく変換した時代があった、と気づきました。"

"シリコンバレー誕生より遡ること数百年、そもそもアメリカという国は、誕生当初から「ベンチャー投資」的な成立経緯をたどってきました。"

"どうしたのかというと、結局ピューリタンたちも、民間投資家から資金を調達したのです。彼らは「ロンドン会社」を設立して、バージニア会社と同様、お宝を掘り出して一攫千金を夢見る投資家から資金を集めました。"

"ここまで見てきたように、アメリカというのは「必死で金儲けをしようと頑張る人たち」が、事業として作り出した国です。もともとその土地に住んでいた人たちが徐々に作り上げた、世界の他のどの地域とも異なっているのです。"

"このとき一攫千金を夢見て殺到した49erたちは、ほとんどが「個人」でした。国家がかりでメキシコの銀山を掘ったスペインとも、本国の富裕な貴族や投資家から資金を集めて土地開発会社を作ったイギリスとも違っていました。"

"また、「当たりはずれの大きい金を掘ること自体より、その人たちにツールを供給するほうが確実に儲かる」という「リーバイ・ストラウス」原則もシリコンバレーでよく人口に膾炙しています。"

"このときカリフォルニアの49erたちは、「奴隷の保有を許せば、一部の金持ちだけが有利になってしまう」として自由州を選んだのでした。"

"そこでターマンは、スタンフォード大学の広大な敷地の一部にオフィスを建設し、そこから賃料収入を得ることを計画します。(略)ここでも「土地開発」の伝統芸が発揮されたというわけです。"

"こうしてシリコンバレーに「自前のマネー市場」が形成されると、お金も時間もないスタートアップ企業がわざわざニューヨークまで行かなくても出資を頼みに行くことができます。"

"一方、それまで学術・防衛に用途が限られていたインターネットは、1990年に商用化されました。いまから考えると変な話ですが、最初は「これは一体何に使うのか?」と業界の人たちは首をかしげていました。"

"単なるマネーゲームではなく、シリコンバレーで生まれる技術が長期的になんらかの「富」を生み出すからこそ、この仕組みが長く続いているのです。"

"そもそも、ネットビジネスでお金を受け取るやり方は、おおまかにいって「物販」「広告」「サービス料金(サブスクリプション)」の3つです。"

"リスクマネーがあったからこそ、新大陸の発見も技術のイノベーションも起こってきました。大金持ちには大金持ちにしかできない役割があるのです。"

"シリコンバレーは「Next Big Thing (ここではNBTと略します)」を鵜の目鷹の目で探し、そこにいち早く投資したい人たちが世界中から集まってくる場所ですので、仕方ないのです。"

"広告でも物販でも、ソフトウェアで生み出された価値とお金のやりとりの間には、一つ別の層がはさまっています。"

"サブスクリプションの場合は、サービスに対しユーザーがクレジットカードなどを登録して直接料金を支払います。ソフトウェアをサービスの形にして販売するという一連の流れの中で、比較的効率のよいお金のいただき方であるといえます。"

"これに対し、次の2010年代で起こったのは、デジタルの中で完結する文章・画像・動画のようなコンテンツ以外のリアルなものに、デジタルとソフトウェアとネットの影響が及ぶ「モノのサービス化」です。"

"正当な「大風呂敷」が成立するためには、ベースとなる技術が急速に進化していることが必要です。"

"スティーブ・ジョブズが偉い人だったのは間違いないですが、経営者スタイルとしては、彼の悪い影響もそれなりにあるような気がしてなりません。"

"メディアのビッグ・テックへの批判の根底にあるもう一つの要因は、「独占」に対する懸念であると私は考えています。"

"その意味で、「ドーピング」戦略を採らざるをえなかった新興ベンチャーやソフトバンクグループにも、同情の余地があります。ベンチャーがGAFAに伍して急成長するためには、ドーピングでもして無理するしかなかった、とも考えられるからです。"

"この土地の最大の特徴は、現状の「ベンチャーとテクノロジー」ということよりも、もう少し根源的な「栄枯盛衰に対応する体力」のようなものが、実はベースなのではないかと思います。"

"しかし、「How」、つまり試行錯誤の上手なやり方ならば、経験豊富な人がシリコンバレーにはたくさんいます。"

"この先、すべてが良くなるわけではありませんが、すべてが悪くなるわけでもありません。"