フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

著者: マイケル・ルイス(著)渡会 圭子(訳)東江 一紀(訳)

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:::目次(文庫):::

序章  幻想のウォール街

立会場で大声で叫びながら株の売り買いをしているマッチョな男たち。が、そう

した光景はずいぶん前に消え、ウォール街は実は小さな「黒い箱」の中に納ま

っている。そこで何かおかしなことが起こっている。その巨大なパズルを解こう

とした男の物語を語ることにしよう。

第1章 時は金なり

シカゴとニューヨークを結ぶ電話会社の回線は、直線で結ばれていなかった。

12ミリ秒で到達するはずの信号が、17ミリ秒かかっていた。もし、直線で結ぶこ

とができれば?地面の下にひたすらまっすぐの光ファイバーのケーブルを通そ

うと思いついた一人の男が、時を金に換える。

第2章 取引画面は蜃気楼

カナダロイヤル銀行は、ウォール街から見れば二軍の投資銀行だった。ブラッ

ド・カツヤマは、2006年のある日、買い注文を執行しようとして奇妙なこと

がおこっているのに気がつく。売りに出していたはずの注文が、取引ボタンを押し

たとたんに蜃気楼のように消えてしまったのだ。

第3章 捕食者の手口

謎を解く鍵は、通信業界を渡り歩いてきた技術者のローナンからもたらされた。

10億分の1秒の時間差を問題にする人々がそこにいた。超高速取引業者。注文

がすべてや約定できる良心的な取引所とトレーダーたちが考えていたBATSは、

実は彼らの餌場だった。

第4章 捕食者の足跡を追う

ブラッド・カツヤマにリクルートされたシュウォールは、2007年に施行され

たある規制が、実は逆に捕食者たちを跋扈させたことに気がつく。取引の公平性

のためにつくられたその規制は、時間と場所を利用したフロントランという武器

を捕食者たちに与えることになったのだ。

第5章 ゴールドマン・サックスは何を恐れたか?

超高速取引業者の台頭は、ゴールドマン・サックスの取引システムに赤信号をと

もすことになった。つぎはぎだらけの巨大システムの速度はのろく、収益の圧迫

された。そんな大投資銀行に雇われた一人のロシア人が、その投資銀行の告発に

よって逮捕されることになる。しかし、一体何を盗んで?

第6章 新しい取引所をつくる

RBCを辞めたブラッド・カツヤマは、七人の侍よろしく、人集めを始める。91

万ドルの報酬を捨てて、新取引所のプロジェクトに馳せ参じたのは、同じ職

場のローナンだった。ロブ、ナスダックにいたボラーマン、パズルマスターのフ

ランシスなどが次々に雇われていく。

第7章 市場の未来をかいま見る

ブラッドたちの新しい取引所はIEXと名付けられたが、開設前から様々な妨害

工作をうける。アイルランドのマフィアと関係しているとうわさを流され、そし

てそもそも顧客が望んでも投資銀行は注文をIEXに送らない。そうしたなか、

ゴールドマン・サックスに変化のきざしが見え始める。

第8章 セルゲイはなぜコードを持ち出したか?

ゴールドマンからコードをもちだしたとして逮捕起訴されたセルゲイの裁判では、

検事も陪審員も誰一人として、超高速取引や投資銀行でなぜセルゲイのような技

術者が必要となったのか理解していなかった。わたしは、実務を行っている

人々に声をかけ、私設の裁判を開くことにした。

終章  光より早く

スプレッド・ネットワークス社が極秘裏に敷設した光ファイバーの道。その道に

そって自転車をこぐと奇妙な電波塔をみつけることができる。シカゴからニュー

ジャージーをつなぐ38の電波塔。誰がいったい何のために?10億分の1秒を走

るフラッシュ・ボーイズの物語は終わらない。

謝辞

訳者あとがき

解説 日本のフラッシュ・ボーイズ 阿部重夫