しびれる短歌
著者: 東 直子(著)穂村 弘(著)
:::目次(新書):::
まえがき
第一章 やっぱり基本は恋の歌
僕らの頭の中は「繁殖」と「恋」の二重性で混乱している/あえて女性の肉体
を誇示した与謝野晶子はすごい/「している」自分の身体をモノとして見る苦
さ/繁殖のために恋してるわけじゃないという意思が見える/脳内に溢れる相
手に対する妄想/男の歌には後ろめたさや苦さがない/昔はもっと恋愛ばっか
り詠んでいる人がいた/ものすごく美味しいものを紙皿で食べてみたい/で
もなんで、上から目線なんでしょうか/恋の歌と食欲の歌は混じる/何の欲を
どれくらい恥ずかしいと思うか/食欲と性欲が重なる感じは男女差がないのか
も
第二章 食べ物の歌には魔法がかかっている
食べ物は対人関係と結びつく/微妙な距離を測っている
第三章 いまがわかる!家族の歌
優しい、可愛い、愛おしい、母や妹/衰えた親をしみじみと見る/お父さんは謎
の存在/脳内の嗜好が漏れ出ている/お父さんより娘のほうが大事/お母さん
は怖かった/家族だから除菌しなくてもいい/マッチを擦らない世代、キッチ
ンで何かを食べる母/妻が夫を詠んだものはすごい/夫婦の間で微妙にズレが
ある/実際には妹がいなくても歌を作っている/夫婦ってホラーだ
第四章 イメージを裏切る動物の歌
人間には計り知れない動物の世界/短歌には素敵バイアスがある/プロの歌人
の歌には文体がある/奇想の歌というのもある
第五章 人生と神に触れる時間の歌
絶対に「LIVE」でしかない人生で/ふだんは見えない時間を感じるとき/夜
中という時間に起こっていること/人生という時間を見る/積み重なった時間
が透けて見える/ある光景ある時間だけが記憶に残ることがある/その時間だ
けは私のものだったあなた/止まっていた時が動き出す/時計は覗くとはるか
な宇宙が見える/「眠ってよいか」
第六章 豊かさと貧しさと屈折と、お金の歌
物質としてお金を睨みつける/大晦日にデニーズにいるのは貧しいのか豊かな
のか/一筋縄ではいかない、リアル/衣食住は揃っているが地獄だ/突然デジ
タルになることで詩が生まれる/親の収入を超せない世代のリアル/なんかモ
ヤッとする、それが短歌/なんでこんなにハイテンションなのか理解できない
第七章 いつか分からなくなるのかもしれない固有名詞の歌
皆が知らない固有名詞だと効果が発揮できない/具体名を出すことで強い歌に
なることもある/まとうイメージは時代で変わる/素敵バイアスのない世代の
歌
第八章 表現の面白さだってある、トリッキーな歌
あかさたな、ちりぬるを/繰り返しとリズム/声に出して読まない短歌/文字
を見ないと分からない/文法を乱す、言葉遣いを乱す/現実の出来事にロマン
のフィルダーをかけて/短歌って、なに?
付録一 歌人ってどうやってなるの?
短歌を作ることイコール歌人になることではない/新人賞に出してみる/歌壇
の話/歌集は自腹でだす?/誰に読まれるか、そこからなにが起きるのか
付録二 真似っ子歌
東直子風短歌/穂村弘風短歌
あとがき