教養としてのお金とアート 誰でもわかる「新たな価値のつくり方」
著者: 山本 豊津(著)田中 靖浩(著)
:::目次(単行本):::
はじめに お金とアート、その意外なつながりが開く「好奇心の窓」 田中靖浩
第1章 なぜアートは日本に浸透しなかったのか
1 日本人が絵と会計を嫌いになる理由
「勉強させられる」からみんな嫌いになる
単純にアートを「観る」ことから始めよ
日本は世界の美術マーケーっとの3%しかない
2 西洋的なパブリック思考と日本的なプライベート思考
「どう役に立つか」の視点が欠かせない時代
国民性の違いは税制の違いから生まれる
お上文化の日本では「公共性」が育たない
3 グローバルスタンダードになれない日本の弱点
懐かしさと珍しさが「美しい」をつくる
日本のお手本はつい最近まで中国だった
いま大注目の「ランゲージ・アーツ」とは何か
英語より大切な「言葉で伝える」技術
4 「文化と文明」を明確化する視点をもつ
美術における「共通の土台」とは何か
絵画取引で大切な「持ち運びやすさ」
「古いものに新たな光を当てる」
共通化された世界のなかで大切な「差異」
アーティストが街に個性をつくる時代
第2章 簿記という芸術的なプラットフォーム
1 文明としての簿記はどうできあがっていったのか
世界最大の共通言語は「アラビア数字」だった
大いなる発明を導いたあるイタリア人数学者
資本主義を発達させた「金利」という概念
未来を否定するキリスト教との矛盾
アラビア数字の普及をあと押しした活版印刷
2 数学的発想で絵を描くということ
絵画と数学をつなげて考えた巨匠ダ・ヴィンチ
忘れる前にスケッチしまくる現代版「メモ魔」
神がいなくなり、人間の視点が生まれた
「目で見ている世界は実は錯覚である」
模倣しなければオリジナルは生まれない
3 サイエンスを支える数学という概念
なぜ日本人はノーベル経済学賞を取れないのか
「美しさ」はサイエンスが支えている
4 複式簿記はなぜいまも使われつづけているのか
500年間変わらない「ダブルエントリー方式」
近世のオランダで生まれた二つの転換期
産業革命は簿記にどんな影響を与えたか
フローしか見ない経営の落とし穴とは
第3章 日本で会計の礎をきずいた福沢諭吉と渋沢栄一
1 日本の会計のルーツは「江戸時代」にある
江戸時代になぜ先物取引はうまあれたのか
庶民の数学レベルを上げた「解く楽しみ」
会計ではなぜか遅れる文明国の憂鬱
価格を抑えて原価が割れる日本人の誤った特性
身分社会がなくなり、画家は自立した
江戸時代はすでに「近代化」していた
2 コンサルタントの元祖、二宮金次郎とは
皆が誤解している二宮金次郎の本当の姿
「貧しい人を助ける」金次郎の余震管理
「節約は大事だが必要なところにしっかり使いなさい」
3 日本の会計のキーマン、福沢諭吉と渋沢栄一
日本で始めて洋式簿記を紹介した福沢諭吉
資本主義を取り入れ、株式会社が誕生した
『論語と算盤』に見る「アクセルとブレーキ」
日本で「原価管理」が発達した意外な理由
蓄財を国に還元するパブリックな思考
第4章 価格から考える「アートの問題点」
1 パブリックになれない日本のアート
美術は「個人の好き嫌い」ではない
絵画とイラストレーションの違いとは
「道具性」から抜け出した美術としての刀剣
2 日本の「価値」と「評価」を知る
商品に本当の価値を与えた「楽市・楽座」
百貨店が相対取引をなくし、定価が生まれた
なぜ日本の美術はパブリックになれないのか
絵画を買う当たり前になる時代へ
3 アートをお金で語ることは不純なのか
画廊に行っても、もう高額で買わされない
アートと会社に共通する「ネットで買えない理由」
「お金は不純」神話はもうやめよう
日本人が「価値付け」できない理由
4 いまは美術のアップデートが必要だ
日本の美術館に足りない「経営マインド」
「お金がなければ文化は守れない」
1000億円の財産の正しい残し方
第5章 これから絶対に必要な「価値と価格」の話
1 価値の基準はどうやってつくられるのか
嘘がつけない「原価」とフィクションの「時価」
株価がうごいても資本金が動かないのはなぜか
アートにおける発行市場と流通市場とは
アートの評価システムはどうなっているのか
2 価値を生むのにもっとも大切な「個人の力」
個人が自立して初めて価値は生まれる
会計の「価格」という考え方とは何か
価格から価値を逆算したポップアーティスト
「客観的な価値」は存在しない
3 イノベーションにつながる価値創造
新たな価値を生み出す「利休の発想」
ジョブズはどうやってiPhoneをつくったのか
安さで勝負しても「価格破壊」しか起こらない
40歳で価値を創造したアーティストは天才である
戦争のない時代にどうやって価値を生みだすか
4 これからの「日本人の勝負」を考えよう
弥生の文化を引き継ぐ「日本人性」
アートは「人々の嗜好」を的確に表す
近代化で切り離された江戸を再発見する
第6章 「未来の資本主義」の話をしよう
1 会計の「公準」という概念をアートに当てはめる
会計人もあまり知らない三つの「公準」
アートを「公準」の概念で考える
会計と法律を分けない日本の特殊性
「習慣好きの英米」と「法律好きの日独」
2 「区切る」ことの本当の意味とは何か
アートも会社も区切らないと評価できない
「不老不死」への憧れが会計に与えたもの
室町時代に「貨幣と美術コレクション」が始まった
ダ・ヴィンチにはなぜ未完の作品が多いのか
「宗教を信じていても長生きはできない」
3 日本人は「資産」の意味を理解しているのか
美術界も「公準」の概念を取り入れよ
「借金は資産である」という教え
時代とともに変化する「資産の捉え方」
資産価値がわからない日本の美術品
会計で人を評価することはできるのか
AIがアーティストになれない理由
一番重要な問いは「なぜこれを描いたのか」
4 個人としての資産価値が大切になる時代
あらためて「美意識」の意味を問う
商品化しない人生がいつか「化ける」
「これ以外はしない」と自分を追い込む才能
資本主義の経済システムは続くのか
「関係ない分野の知識」がいつか役に立つ
「誰かが自分の人生をみている」という倫理
なぜいまは「個人が大切」と言われるのか
おわりに 自分の人生を「作品」として生きる 山本豊津
"これからは、個人としてどう稼ぐか、やりたいことと生活のバランスをどうとるかが問われるようになります。そこには自立した個人としての美意識が必要です。"